日本国内の配当金、外国株利益(売買益、配当金)の節税方法について解説します。

配当金や売買益の税金って、証券会社で勝手に引いてくれるんじゃないの?



基本はそうだね。
ほとんどの人が証券会社を開設した時に税金の支払方法を「源泉分離課税」にしていると思う。
「源泉分離課税」は証券会社側で、利益から税金を自動で引いてくれる仕組みなんだ。
引かれる税金は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)になるよ。



何もしなくていいので楽ではあるんだけど、、、
配当控除、外国税額控除という制度を利用することで税金を安くすることができるんだ。
※制度を利用するためには確定申告が必要
ただし、【年収がとても高い方】、【第1号被保険者(自営業の方)】、【第3号被保険者(夫の扶養に入っている方)】は税金や社会保険料が高くなってしまうのでおすすめできないよ。



確定申告とか面倒くさいんだけど。。。



マイナンバーカードがあればe-taxで確定申告できるんだけど、昔と比べてすごく簡単になっているよ。
証券会社とも金額の連携ができるようになっているから、PCやスマホでポチポチしているだけでできるよ。
配当控除
配当控除について
配当控除とは、日本株などから得られる配当所得について、所得税10%、住民税2.8%分を税額控除することができる制度です。
※課税所得が1,000万超の場合は所得税5%、住民税1.4%の控除額になります。
配当金は株式会社が法人税を支払った後に株主に分配されるので、法人税+所得税・住民税と2重課税になります。
そのため、配当控除で2重課税を軽減してもいいよという制度です。
また、総合課税での税金支払となるため、所得税率が低い方はより節税になります。
配当控除を利用できる投資先は以下です。
① 日本株
② 日本国内の投資信託、ETF(株式比率50%以上)
NISAで購入した投資先は対象外です。(そもそも非課税のため)
外国株や外国株投資信託・ETFは含みません。
また、日本国内であっても債券やJ-REIT(不動産投資信託)は対象外です。
配当控除を利用するためには、前年分の配当について、毎年2月16日から3月15日の間に確定申告をする必要があります。
確定申告する際に、「総合課税」を選択して申請をします。
「総合課税」とは給与所得などと配当所得を合算して税金を支払うという意味です。
今はe-taxを利用すれば、スマホで簡単に確定申告できます。
配当金などの入力も対応している証券会社(ネット証券であれば対応していると思います)であれば情報を引き継ぐことができます。
節税になる方(損益分岐点)
第2号被保険者(会社員)で課税所得が「695万円以下」の人が節税になります。
また、配当金が多くない(目安として10万円以上)とあまり節税効果を得られないです。
年収ではなく、課税所得であることが注意が必要です。
課税所得の対象となる金額は「給与」+「配当」の合計です。
課税所得の目安として、独身・扶養なし・年収1,000万円の方は課税所得は「600万円強」です。
※配当金は1/1~12/31の合計です。



年収1,000万円の人でも対象ってこと?



うん。おそらくほとんどの会社員の人は節税になると思うよ。
ただし、正確には「年収」+「配当」だから、配当金が多かったりすると695万円を超えてしまうこともあるよ。
また、人によって控除額も異なるので、確定申告作ってみて確認してみるといいよ。
私は毎年確定申告書を作ってみて、税金が少なくなる時だけ確定申告しています。
※慣れてくれば30分くらいでできます。
節税となる税率
ほとんどの人が証券会社を開設した時に税金の支払方法を「源泉分離課税」にしているかと思います。
「源泉分離課税」は証券会社側で、利益から税金を自動で引いてくれる仕組みです。
引かれる税金は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。
配当控除を利用するために、総合課税にする必要があり「給与所得」と「配当所得」を合算して税金の計算がされます。
総合課税の場合と源泉分離課税との税金を比較して、より税金が少ない方を選択する必要があります。
以下に会社員で独身(扶養家族なし)のケースで、総合課税で配当控除を利用した場合のおおまかな年収(給与所得+配当所得)、税率を記載します。
※扶養家族の有無、控除などによっても異なりますので、あくまで目安としてください。
※数字がわかりにくくなるため、復興特別所得税2.1%は除いて記載しています。
年収 (給与所得+配当所得) | 課税所得 | 配当所得 所得税 ※10%控除後 | 配当所得 住民税 ※2.8%控除後 | 配当所得 合計税率 |
---|---|---|---|---|
480万以下 | 195万以下 | 0% | 7.2% | 7.2% |
480万~670万 | 195万~330万 | 0% | 7.2% | |
670万~1,070万 | 330万~695万 | 10% | 17.2% | |
1,070万~1,300万 | 695万~900万 | 13% | 20.2% | |
1,300万~1,460万 | 900万~1000万 | 23% | 30.2% |
源泉分離課税と比較すると、以下の表のようになります。
課税所得が695万円を超えてくると、総合課税の方が税率が高くなってしまうため、配当控除を利用するメリットがないです。
年収 (給与所得+配当所得) | 課税所得 | 源泉分離課税 (所得税+住民税) | 総合課税 (所得税+住民税) |
---|---|---|---|
480万以下 | 195万以下 | 20% | 7.2% |
480万~670万 | 195万~330万 | 7.2% | |
670万~1,070万 | 330万~695万 | 17.2% | |
1,070万~1,300万 | 695万~900万 | 20.2% | |
1,300万~1,460万 | 900万~1000万 | 30.2% |
年収(給与所得+配当所得)が少ない人ほど総合課税の税率が低くなるため、節税額が大きいです。
また、扶養家族の有無や健康保険料によって控除額が異なりますので、自身で確定申告の作成をやってみるといいです。
※トータルが損になる場合は、申告書の作成だけして、確定申告しなければ問題ありません。
参考サイト:大和証券 税率早見表
年収別、配当金別(10万、30万、50万、100万)の節税額
以下に独身で扶養家族なしのケースで、年収別、配当金別の節税額を表にしています。
簡易的な計算で出しているため、節税額には誤差があります。
また、扶養家族の有無、控除などによっても異なりますので、あくまで目安の金額としてください。
年収 (給与所得+配当所得) | 配当所得 10万 節税額 | 配当所得 30万 節税額 | 配当所得 50万 節税額 | 配当所得 100万 節税額 |
---|---|---|---|---|
480万以下 | 13,000円 | 39,000円 | 65,000円 | 130,000円 |
480万~670万 | 13,000円 | 39,000円 | 65,000円 | 130,000円 |
670万~1,070万 | 3,000円 | 9,000円 | 15,000円 | 30,000円 |
1,070万~1,300万 | -2,000円 | -6,000円 | -10,000円 | -20,000円 |
1,300万~1,460万 | -10,000円 | -30,000円 | -49,000円 | -98,000円 |



配当金が多いほど節税額が大きくなるんだね。



ただし、支払う税金以上の節税はできないので注意が必要だよ。
所得税が5万円の場合で、配当控除が10万円(配当所得100万円)であっても、5万円しか減税にならないよ。



あくまで支払う税金が減額される制度ってことね。
確定申告書を作って判断したほうがよさそうだね。



うん。その通り。
また、自営業や専業主婦の方はおすすめしないよ。
配当所得を含めた総合課税にすると国民健康保険料が上がってしまったり、扶養から外れてしまうから。
個人的には、会社員で1万円得するならやったほうがいいかなと思ってる。
確定申告に1時間かかっても、時給1万円って考えたらオイシイので。



たしかに!
配当金が増えたらやってみる!
外国税額控除
外国税額控除について
外国税額控除とは、外国株などの投資で得られた売買益、配当金について所得税を税額控除することができる制度です。
外国株などの利益は、現地での税金を支払った後に、日本国内で所得税・住民税を支払うため2重課税になっています。
そのため、外国税額控除で2重課税を軽減してもいいよという制度です。
利益が100万円だった場合、米国を例にすると以下の計算になります。
※米国の税率は10%、日本の源泉分離課税は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。
■米国での税金支払い
100万ー(100万×10%)=90万円
■日本での税金支払い
90万ー(90万×20.315%)≒71.7万円
つまり、何もしないと利益の3割弱を税金で持ってかれます。
外国税額控除を利用できる投資先は以下です。
① 外国株
② 外国の投資信託、ETF
③ 外国の国債、社債
④ 外国のREIT
NISAで購入した投資先は対象外です。(2重課税になっていないため)
前述した配当控除と併用可能です。
日本株は配当控除を利用、外国株の配当は外国税額控除を利用するということが可能という意味です。
また、日本株の配当は総合課税、外国株の配当は申告分離課税にすることで、別々の税率にすることもできます。
節税になる方、節税額について
第2号被保険者(会社員)の人が節税になります。
また、配当金が多くない(目安として10万円以上)とあまり節税効果を得られないです。
外国税額控除となる計算式は以下です。
日本の所得税額×(外国所得金額÷所得総額)=外国税額控除
※上記の金額と外国で納税した金額のいずれか小さい方が控除されます。
計算式を見てもらうとわかると思いますが、節税額は他の所得に影響してかなり変わってきます。
会社員の場合は損になることはないので、日本株の配当控除を使うついでに確定申告しても良いと思います。



結局いくらくらい戻ってくるのかイメージつかないよ。



そうだよね。。
確定申告書を作ってみるのが一番いいかな。
ちなみに私の場合は、配当控除と一緒に申請してます。
外国の配当金の割合が多くないので5~6%戻ってきてる感じです。



自営業や専業主婦は使えないの?



損する可能性があるのでおすすめしていないよ。
配当控除と同じで、国民健康保険料が上がってしまったり、扶養から外れてしまう可能性があるよ。